上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

我らが祖国に風が吹いている

 「にわかファンはアリかナシか?」という日本人を確実に二分する議論、僕はアリだと思っています。
 確かに従来のファンからすれば面白くないでしょうが、にわかファン→固定ファンで固定ファンが増える、その裾野を広げるためには「コンシューマゲームコンソールを売るにはライトユーザーを取り込め」の如く、にわかファンが不可欠なのです。しかし、朝のニュースでNHKのアナウンサーが「私もサッカーのにわかファンです」とか抜かすのはどうかと。

 今日の夜、ワールドカップの予選リーグ第二試合のセネガル戦が行われます。日本代表には頑張っていただきたい。しかしちょうど一週間前のコロンビア戦での劇的な大金星で、「わかファン」の空気が変わってしまった気がします。

 予選直前での日本代表の監督劇、その後の親善試合の連戦連敗で前評判が最悪の中での勝利は確かに大金星だと思います。でもその後の報道のテンションが余りにも変わりすぎではないでしょうか?
 特に土曜日日曜日、一週間前は「予選突破は無理ゲー」と言わんばかりの内容、一部のサッカー解説者の「割とガチで予選突破はイケます」の発言も、「評論家の言うことはアテにならない」と言わんばかりのコメンテーターwのバカにした顔を映してCMと「本当に日本代表に勝ってほしいのか?」と思ってしまう内容でした。
 ところが水曜日以降、地震の事などすっかり忘れて猫も杓子も「サッカー、サッカー」、「大迫マジハンパねぇの元ネタに取材を入れようとしたら今は会社員なので断られました」をどの局でも聞いて、「こんな下らない事で一般人に取材依頼したのか」と呆れ、「街の声」でスイーツ(笑)に「気になる選手は誰ですか?→大迫でーす」を何回聞いたことか。
 僕は「ある理由」からサッカーはほとんど見ないので未だに「大迫選手」の顔が判りませんが、報道の影響で「大迫マジハンパねぇ」の元ネタの男性(しかも十年以上前の)顔だけはバッチリと覚えてしまいました。「街の声」のスイーツ(笑)にも、「大迫選手の顔はどれですか?」をやってほしいのです。
 セネガル戦を放映する日テレでは、キックオフの一時間以上前から「直前」スペシャルを流しますが、もしコロンビア戦での勝利が無ければここまでしたでしょうか?このようなサッカーのイベントでにわかサッカーファン→固定サッカーファンが増えるでしょうが、「既存の固定サッカーファン」に対して「新規の固定サッカーファン」はどのくらいの割合で増えるのかが疑問で仕方ありません。奇跡の大金星は祝福したいですが、それからにわかファンによる「バカ騒ぎ」の様相を呈するのは既存のファンやそれこそ関係者に対して失礼ではないでしょうか?

 実はそんな「バカ騒ぎ」で僕が不快に感じた出来事が今年の初めにありました。
 2006年のバンクーバー冬季オリンピックで話題になった、「チーム青森」入賞によるカーリング。当時マイナースポーツで、僕もそのブームの中でルールを覚え、「是非やってみたい」とまで思うようになりました。その後も「国内のカーリング大会の観戦者が急増した」というニュースもあり、「これからはカーリングもメジャースポーツになるのか、僕もプレイする機会が増えるのか」とも思いました。それから冬が来るたび、岐阜県カーリングのイベントが無いか探しましたが、何と、「0」でした。「皆無」ですらないのです。
 そこまでは「メディアが一時的に騒いだだけ」と思うようにしました。しかし今年の2月の平昌オリンピックでそれは起きてしまいました。
 僕は冬のスポーツについてもトンと疎いので、ルールを知っていて落ち着いて観戦できるカーリングを、部屋で祖父と「石をあー置けばいいこー投げればいい」と話して観ていましたが、LS北見の快進撃で様相は一変、ワイドショーでも頻繁に取り上げられましたが、その内容たるや「ルールの説明」がほとんどだったのです!!いや、冬季オリンピックの度にやってるでしょソレ!?と思ったら途中で話題が完全に「そだねー」「もぐもぐタイム」ばっかりに。
 ア ホ か

 つまり、一旦話題になってにわかカーリングファンは増えたけれど、それからほとんど固定カーリングファンに移行しなかったのです。
 一番割を食うのはカーリング関係者でしょう。一時的には話題になり収入も活躍の場も増えるでしょうが、それも長くは続かない。4年も経てばルールどころか人によっては名前すらもキレイに忘れられて、また「美人アスリート」に熱中されるのですから。

 にわかファンでも結構、一時的に騒ぐのも人間の性でしょう。しかし、さも最初から知っていたように「大迫」言うのは控えていただきたいです。
 にわかファンだからこそ「4年の間にスッカリ忘れました、1から勉強させてください」という謙虚な姿勢が大切ではないのでしょうか。