上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

ライバルは蟋蟀フライだよ

くまのプーさん」が、2022年に著作権切れでパブリックドメインになったそうです。

 即ち二次創作の制限がほぼ無くなったのですが、流石映画本場アメリカ合衆国というべきか、今年、「くまのプーさん」をモチーフにした「プー あくまのくまさん」なるホラー映画が公開されました。

 あの「のほほん」という形容詞を擬熊化したようなプーさんがホラー映画!?

 と思っていたら、やっぱりというか、速攻で映画レビュー系ユーチューバーの格好のネタになっていました。

 僕も、映画の存在自体を、某ディズニーによって暗黒面に堕ちた男の動画で知ったのですが、「下手なホラーはコメディにしかならない」という事がよくわかる映画だなとは思いました。あと、動画でも触れられていますが、「野生動物への餌付けがどういう結果を招くか?」という注意喚起だった。のかもしれません。多分。

 

 現在、ネットで話題になっているのが、「日本ヴィーガン協会によるヒグマ保護のクラウドファンディング」です。

 一応、URLも載せておきます・・・

クマたちから学ぶ日本再生プロジェクト!(japanvegansociety 2023/07/25 公開) - 継続寄付 READYFOR

 要は、「クマちゃんたちが殺処分されて可哀想だから、保護するためにお金を集めます」というモノです。

 

 まあね、僕は好きですよ。クマ。

 少なくとも高山に行った時は、クマ牧場とティディベアエコビレッジに必ず足を運ぶレベルでは好きです。

 クマのぬいぐるみもいます。

 違法滞在者の名前が「クマラ」ってマジで喧嘩売ってるんですかね?

 

 しかし、ことこの活動については、一人のくま愛好家としては実にいただけない。

 「自然を守ろう」というスローガンを掲げるのは、きわめ正しい。しかし、クラウドファンディングのページ書いてある事は論外でしかありません。

 まず、「自己紹介」として、理事長の名前と経歴が載っていますが、「理事長は阪神大震災後、被災者でありながら合計120匹の猫を自宅で保護しました。」という一文。要る?コレ?

 被災直後に120匹の猫を一度に保護したのであれば話は別ですが、例えば、被災から10年くらい経った後に、10年くらいかけて保護猫活動をして、その保護した猫120匹だったとしても、この文章は成り立ちますし、そもそも「ヴィーガン」などというモノを掲げる連中ほど、こういった屁理屈を使って自身の功績を誇示したがります。

 と、のっけから怪しい活動ですが、読み進める度にツッコミどころの連続。

ついにヒグマも!クマたちの実態調査報告で、悪者扱いをやめさせる

 ヒグマと暮らした経験豊富なアドバイザーとともに北海道へ!貴重なヒグマの生態や調査報告書を、環境省や関係自治体、ご支援者の方に送ります!クマについて、あまりにも間違った報道が多い日本で、理解を深め、伝えましょう!クマ悪者にする報道に、私たちは憤りを感じます。

 それって日本ヴィーガン協会がやる事でしょうか?

 生態調査なんて、それこそ研究機関や環境省国土交通省等が、お金をかけて専門家が長い時間を使って丁寧に行うものであって、そういった学術実績が無い人たちが思い付きで行うものではありません。

 それに「ヒグマと暮らした経験豊富なアドバイザー」って誰の事でしょうか?

 ヴィーガン協会的には、「学術研究とは別のアプローチで調査する」とかの発想なのでしょうが、残念ながら、動物の生態調査なんて、取っ掛かりは大抵地元の人の証言取りなので、「地元のヒグマに詳しい人」の証言や経験を聞いても、それはもう昭和の時代にほとんどまとまっているものでしょう。

 そもそも「報道」ほど、ヴィーガン達の味方をしてくれた存在はいないでしょう。

 恩人にツバ吐く真似をしてはいけません。

 クマの生息地に昔から住む地元のお年寄りから、クマの痕跡は激減、クマを殺しすぎだと、多数の声を聞きました。(兵庫県、石川県、岐阜県、長野県)

 私たちは山主からの調査依頼でも、大きな生態系の破壊が進んでいる悪循環の現場を見ました。

 クマは奥山で人を避けて暮らし、森の循環をつくってくれていました。そのことに感謝もせず、奥山の荒廃で出てくるクマを、生息数が想定以上に多かったと、各都道府県は捕殺可能数をただ増やします。

 具体的に何件の「クマを殺しすぎだとの声」があったのでしょうか?クラウドファンディングの文章というのは、読んでくれた人に対する、言わば「営業文章」

 具体的な数字一つ出せば説得力が高まるというのに、なぜそれをしないのか?

 そして何より、兵庫県にも石川県にも岐阜県にも長野県もヒグマはいないっ!!

 昔からクマと共存している村で、クマの食べるものを育て棲み分けしている仕組みや、誤捕獲クマを放獣している自治体からその方法を学び、補殺ストップ訴えとともに、具体的にみんなで補殺しない仕組みが作れるようどんどん提案します。

 クマが居ても、都会のカラスのように、いちいち通報などしない、お互い距離感保っており、問題ない地域は少なくないのです。

 だからその「クマを放獣している自治体」って何処だよ!?

 しかし、ハンターがクマがいると知りやってくる、捕殺したい近隣とのトラブル等から、地域を公表できず、公の機関や大学の研究室では扱いにくい。

 そうしたところで、信頼関係の上調査協力いただき、クマが住める豊かな日本に戻そう!

 まるでハンターが殺処分数を競っているような書き方ですね。

 近代以前から、人と近い野生動物は適切に管理することこそ重要とされ、「マタギ」と言われる、ヴィーガン協会的には「ハンター」がその役目を担っていました。「赤ずきん」に登場する「狩人」だって、本来はそういった野生動物の管理や、野生動物の被害に遭わないようにするのが仕事であって、オオカミを見境なく殺処分している訳ではないのです。そういった、里山には絶対に必要な職業を差別しておいて、何が「信頼関係」でしょうか。

クマの保護

野生のクマを育てて森に帰す海外の活動家に助言いただきます。

クマ飼育には県の許可が必要であることから、親を殺されて保護が必要な赤ちゃんクマも現実見殺しにされています。

民家から離れた森で、クマを愛する人たちが責任を持って飼育できるなら、保護は不可能ではありません。山を提供したい方は少なくないのです。

かわいそうな赤ちゃんクマを飼育して、違法であるからと殺してしまう残酷な事例がありました。野生動物保護ができない日本を変えて行きましょう。

野生のコグマを育てて森に還した経験豊富な、クマ部アドヴァイザーから預かる申し出があります。

国も県もみなさんの意向を大事にします。クラファン支援者数がとても大事です。

みなさんの力がないとできません。活動は随時ご報告いたします! 

山の環境についての説明はこちら https://vegan-japan.info/Start/クマ部

一般財団法人日本熊森協会、私たちは一切この団体の活動に関わっていません。この団体への批判は直接この団体にされてください。

 「アドバイザー」なのか「アドヴァイザー」なのか安定しなかったり、「されてください」というやや不自然な日本語はこの際どーでもいいです。

 怒涛の「クマちゃん可哀想」からの、「文句はこっちへ」と丸投げ。

 申し訳ないけれど、同じ分野で活動する団体というのは、できるだけ協力してもらわないと、不便を被るのは大多数の一般人です。

 僕も、「日本心電図学会」と「日本不整脈学会」が喧嘩別れしたせいで、認定資格の名称について所属する医療機関の医師に長々と申し開きしないといけない事態になりました。

 ここで頭を下げて、「一緒に頑張りましょう」と何故言えないのか?言い出せない事情でもあるのか?

 また、自然環境の保全の大切さについても書かれてはいるのですが、それなら、なぜ森林伐採の象徴でもあり、シナが絡んでいるメガソーラーや風力発電による大規模伐採を何故非難しないのか?

 クラウドファンディングで得たお金で自分達で山を買って、伐採を阻止してクマ達の居場所を確保しようとしないのか?

 そもそも自然を守る気があるのか?

 なぜそれをヴィーガンがやらなければならないならないのか?

 クラウドファンディングのページからは読み取れませんでした。

 

 確かに、クマに限らず、野生動物による獣害というのは、大規模開発により、彼らの生活エリアに人間が入ってしまった事が原因である事は認めます。

 だからこそ、森林の保全という観点で、林業の活性化による里山整備や、環境負荷を無くす都市づくりを行い、クマと人間の不幸な接触を予防することこそ重要なのです。

 

 良い例が「三毛別羆事件」でしょう。

 大正4年に発生した熊害で、最終的に死者7名を出してしまいましたが、そのきっかけは、羆が開拓集落に干してあったトウモロコシを食べた事で、人間と接触してしまったからでした。

 人間を知った野生動物は、二度と本来の「野生」には戻れません。

 次第に人間を怖がらなくなった羆は、最終的に一人のマタギによって殺処分されましたが、山狩りとして、のべ600人もの「ハンター」が動員されたそうです。

 

 どうもヴィーガン協会や、「世田谷自然左翼」の面々は、熊や羆をぬいぐるみみたいなクマちゃんだと、熊や羆のいる山林を100エイカーの森のようなところだとしか思っていないようです。

 確かにぬいぐるみのクマはかわいいし、熊そのものも、見ている分には可愛らしいです。

 でも、そんな可愛らしい熊も、生態まで可愛らしい訳ではないのです。

 なのに、自分達が熊に優しくすれば、熊も自分達に優しくしてくれると思い込んでいるから、こういったトンチンカンな事業を、しかもクラウドファンディングで行う。

 ぶっちゃけ、猫がおとなしいのは人間の近くで生まれ育ったからだけであり、例えば、イリオモテヤマネコのような「野猫」は、人間でも平気で怪我させに来ます。愛玩動物や動物園、水族館で眺める動物というのは、ただ「おとなしく育った」だけに過ぎないのです。

 だからこそ、野生動物には「接触しない」が鉄則。そして、接触しないためにも森林を保全する。里山を守る。無駄な伐採、特にシナが絡むようなメガソーラーや大規模風力発電のようなアホみたいな伐採はしない。というのが大切なのです。

 

 最後に、「クマちゃん可哀想」という人達に関する有名なコピペを紹介します。

ある日、マタギのところへ動物愛護団体の人が名刺を出して
「なんで熊を殺すのですか」と抗議にきたそうな。
マタギの爺さん曰く「生きていく糧と伝統」と説明するも、
愛護団体側は「動物を殺すなんて(以下略)」と聞く耳を持たない。
それから連日抗議に来るので、煩わしく思ったマタギは知人に頼んで一芝居をうつことにした。
今日も今日とでマタギに難癖を付けにやってきた団体様。
そのタイミングを見計らい、近所の知人がやってきて「里に熊が出てきた様だ、心配だなー」と一言。
それを聞いて青ざめたのは団体の連中。
どうやらマタギをこらしめに来たはいいが、熊に襲われることは想定してなかったようだ。
恐怖を感じた団体の連中は、マタギの爺さんに「私が熊に会っても・・・安全に帰れますでしょうか?」
と振るえながら尋ねる始末。
そんな情け無い連中に、マタギの爺さんはこう返してやった。
「熊に遭ったら、あんたの名刺を見せればいいじゃないか。動物愛護団体だとわかれば熊も襲ってこないだろう?
襲われてもそれはそれで、愛すべき動物の糧になれるんだから名誉なことじゃないか。
それとも、まさかあんたら俺を警護につけて、
『私達の安全のために、熊が襲ってきたら撃ち殺してください』
なんて言うつもりじゃねぇよな?」