上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

PCR検査をわかりやすく その1「DNAとRNA」

 今年の流行語大賞になってしまいそうになるほど、猫も杓子も「覚えたての学術用語」として連呼している「PCR検査」。特に売国マスゴミとか上昌弘やその信奉者なんかは口を揃えて「日本の武漢肺炎の感染者数が少ないのは、安倍政権が態と検査数を少なくしているからだ!!」「希望者はもとより国民全員にPCR検査をしろ!!」と抜かしています。でも、僕も臨床検査技師の端くれとして、こんな発言に賛同できるわけがありません。もうこの手の発言も、最近は「右から左」をできるようになりましたが、僕の周りの「臨床検査技師でない人」や「生物・化学に明るくない人」に、「ならなんでPCR検査をやたらとしてはいけないの?『医療崩壊を防ぐため』とかなら、『態と検査せずに感染者数を少なく抑えている』って言われても仕方ないんじゃないの?」っていう事をよく聞かれるようになりました。

 

 前々から感じていたのですが、一般庶民はともかく、「モノを伝えるプロ(とは思えないけど・・・)」であるマスゴミも「PCR検査とはそもそもなんなのか?」を理解していないのではないのでしょうか?

 例えば、みんな大好きWikipedia先生は

ja.wikipedia.org

と、みんなが理解できるどころか、臨床検査技師ですら読むのを諦めて「遺伝子検査学」の教科書を復習するような有様です。

 「ならば分かりやすくブログに書くのが臨床検査技師の本分なのではないのか!!」と憂国心に燃えてしまったので、「PCRとは何ぞや!?」をこれから計3回に分けて書かせていただきたいと思います。

 

 全部読めば、上昌弘がどれだけタワケた事を言っているのかが分かるようになりますよ。多分。

 

 PCR検査を一言で言うなら、「遺伝子を増やす検査」です。

 

 PCRを理解するためには様々な知識が必要なのですが、大前提で必要なのが「遺伝子とDNAとRNA」です。

 

 「DNAって遺伝子を英語にしたやつじゃないの?」って思われる方も多いかと思いますが、本来は全く別の用語なのです。

 まず遺伝子をざっくりと言えば「その生き物の性質を決定付ける設計図・企画書」です。

 で、DNARNAをざっくりと言えば「設計図形式のようなモン」だと思って下さい。

 DNAは「デオキシリボ:」「核(ヌクレオ):」「酸(アシッド):

 RNAは「リボ:」「核(ヌクレオ):」「酸(アシッド):

 という物質で、生き物の身体の中には設計図として、それぞれ2重螺旋1重螺旋になって納められています。

 細胞の「核」にある「酸」だから「核酸」。

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 ここで「この2つの違いは何なの?」っていう疑問がわきますが、これまたPCR検査的にザックリ書くと、

どんな字で書かれているか」「どんな紙に書かれているか

の違いだと考えていただければOKです。設計図に書いてある内容が一言一句同じでも、

ひらがなで書いてあるか?カタカナで書いてあるか?

ボールペンで書いてあるか?墨で書いてあるか?

黒板に書いてあるか?ホワイドボードに書いてあるか?

模造紙*1に書いてあるか?ディスプレイに表示されているか?

で見た目がずいぶん違いますよね?

  また、DNAには「デオキシ」という文字と2重螺旋という、2つの「RNAにはないモノ 」がありますが、この2つによって、DNAにはRNAと比べて

 壊れにくい、内容が変化しにくい

 という利点があります。当然、RNAにもDNAにはマネできない役割というものがるのですが、例えば同じ文章を保管するにしても、紙で保管していると、意図しなくても破れたり燃えたり、鉛筆で書いてあれば時間が経つと勝手に消えたりしてしまいますが、コンピューターの中のデータであれば、よほどの事がない限り、内容は保たれますよね?そんな感じで、同じ内容の設計図や企画書でも

 DNAは元データ

 RNAは現場や会議で使いやすくするためにその都度印刷されたワークシート

 という違いがあるのです。

 

 そんでもって、PCR検査では、それらの文章を「制限酵素」と呼ばれるモノで単語毎に分けて、特定の単語をとにかくコピーしまくって

 「あ、この単語がこんなにたくさんコピーできた!だったらこの設計図は○○の設計図で間違いないね!」

 って調べるのがPCR検査なのです。

 

 では

なぜ単語毎に分ける必要があるのでしょうか?

なぜ「やたらと検査してしまうと医療崩壊につながる」のでしょうか?

 

 それは次回に続きます。

*1:「B紙」っていうのは岐阜県の方言なんですよ