上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

アンハッピィサマァウエディング

 むかーしむかし、たぶん25ねんくらいまえ、あるところにミニ〇ちゃんがだいすきな5さいくらいのおんなのこがいました。
 おんなのこのねがいがかない、かぞくでちばけんうらやすしのゆめのくにいきました。そこでおんなのこはあこがれのミニ〇ちゃんにであいました。
 おんなのこはかけよってあくしゅしてもらいました。あまりにもうれしかったので、てをにぎったままぶんぶんとふりました。そしたらミニ〇ちゃんのてがとれてけむくちゃらのおじさんのてがでてきました。
 おんなのこは、「いつもつけているしろいてぶくろがとれただけなんだ。たぶん」とおもうようにしました。

 さる6月17日、AKB48 49thシングル選抜総選挙にて。僕が以前うpした「ばれてしまってすみません!!」を遥かに凌駕した、ランクインした某メンバーの結婚宣言。
 ネット上では「プロ意識が足りない!」「ファンへの誠意が感じられない!」「ファンに貢がせて食べるウエディングケーキはうまいですか?」等々の罵詈雑言。しまいには「法的措置をするべきだ」とか発言する人も・・・アイドルヲタって恐ろし~(((((((( ;゚Д゚)))))))でもウエディングケーキはさぞうまいと思う。

 さて、この騒動に対しては主に2つの反応があります。1つは文句を言っている人と同調して「恋愛禁止なのにおかしい!!」と、もう1つは「アイドルに入れ込んじゃってどーするの(笑)」です。
 僕は後者なんですが、「所詮はアイドルがらみの下らない論争」と思っているわけではありません。というのも「誰かが売る夢を買う」という行為に関して、小学校低学年でもなければ「夢を売る方も買う方もクレバーな取引に徹しなければならない」と思うからです。

 例えばかの千葉県浦安市にある夢の国。よもや「うろついているキャラクター達は着ぐるみじゃない」と思っている人はいないですし、「何十分も並んでまで乗るようなアトラクションか?」と言われて悩まない人はいません。国の中で買えるものはどう考えても割高だし、スペ〇スマウンテンにはお札がいっぱい・・・じゃないか。とにかく、どう考えても不条理、割高な夢の国でもそれを理解していて、その上で割り切って楽しんでいるのであり、割り切って楽しむべきものなのです。
 だからこそ、躁うつ病に片足を突っ込んでる姉貴が国中を凍らせて逃亡した先で「雪だるま作ろ~」とか歌いつつ終盤で姉妹丼フラグを全キャラクターが全力でたたき折る夢の国のイメージを自ら全否定し、あまつさえ「May J.が歌う主題歌を一緒に歌おう」という斬新すぎる視聴法を編み出した、カラーが作れば「庵野〇ね」でサーバーがパンクする事必至な1800円の映画に日本人は猫も杓子も殺到するわけです。
 しかしこの夢に対してクレバーな日本人、アジアの企業が絡むと途端にクレバーさを失い夢の肩を持つようになります。印象的だったのがフジテレビが件の映画を流した際、主題歌をカットしてシュール映像を流すという珍事。「君の名は。」のテレビ放送で「なんでもないや」がカットされるようなもんだから怒る気持ちもわからなく無いですが、アンタら、文句を言う前にそんなにいやだったらDVD買おうよ、せめてレンタル屋さんに借りに行こうよ。1800円支払ったんだから。なんでそこでセコくなるの?だから日本は「なんでアニメは儲からないアル?」になるんだよ。そもそも本編<May J.の歌なのか?
 もっとも、アジアの企業の、それもコンテンツ産業に関す人達の大半は、夢の国の本社がある国以上に情熱を持ってコンテンツと向き合っていただいています。夢に対してクレバーな日本人すらも、アジアの企業に求める「夢」の水準は極めて高いのです。しかしAKB事務局やフジテレビはさにあらず。
 
 で、AKB。そもそもなぜメンバーの結婚発表がここまでの騒動を起こすのか?それは運営が「恋愛禁止」を掲げているからであり、それを前提にしているから「メンバーとの疑似恋愛なるものを安心して楽しめる」のが売りだからです。それが「夢」なのです。
 しかし夢の国が如実に表しているように、その手の夢は極めてクレバーに接し、クレバーに買わなければいけないのです。考えてみれば、「恋愛スキャンダルを起こしたメンバーを丸坊主にした上に左遷する」というスキャンダルを放置した方がマシな措置をとり、殺傷沙汰が起ころうが放火未遂が起ころうが意地でも握手会を開催し続け、数千枚CDを買うファンを止めようともしないAKB事務局のスタンスは、もはやギャクそのもの。すなわち、「恋愛禁止」というものは「そういうある種のギャグ」であり、「彼氏はいません!」というわざわざな発言に対して「ハイハイwww」と返すことこそが、楽しむ上でのマナーなのです。
 ゲームのようにユーザーが作品に干渉もできない。特定のクリエイターのようにファンを大事にするかどうかが生活に直結するわけでもない。運営が垂れ流す情報を買って「疑似恋愛」という危ないことを推奨する、いってみれば「恋愛禁止」なんてものは「志村うしろうしろ~」とか「全国の女子高生もみなさ~ん」とか「女子校生AV」と同じようなもの。え?本当にJKだと思っていた?それなんて前川?別に個人対個人の関係でもなければお給料をもらう仕事の関係でもない、濃い「夢」を売っている大手ゲームメーカーや独自の世界観を持つクリエーターでもない、ましてや家族や友人、恋人でもない。あくまで一方的な正気を疑うアジアの企業が言っているだけの薄利多売の極地の「夢」に過ぎないのです。
 そんなアジアの企業に対してさも「良質の夢を売るのが当然」と言わんばかりに企業の信頼度>「夢」のスタンスでアイドルを応援し、結婚宣言で本気でクレームを出す。所詮今回の騒動はドリーム〇クラブで亜麻〇をNTR損なったバットエンドのようなもので、「法的措置を検討」するより会場でショックを受けた人達で集まってカラオケに行って、みんなで「ほ~んとに~た~ちなおれな~い~」って歌った方がよっぽど建設的というものです。
 そう考えると、「ファンに貢がせて食べるウエディングケーキはうまいですか?」という怨嗟の声も随分みみっちく聞こえるもんではないですか。