上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

鬼のルフラン

 ヤイコの最新アルバムのTIMECLIPにはオフィシャルファンクラブ限定の特別パックなるものがあります。限定版と通常版(オマケの音源が違う)にもう一つ別の、お店では手に入らない音源が付いているパックでして、存在を知って急いでサイトを見たのですが、その時にはすでに「SOLD OUT」。商品映像が消されていないので一縷の望みをかけて時々チェックしていたのですが、今日見たら「SOLD OUT」が消えていました。急いで注文しましたよ~

 そういえばヤイコを久しぶりにTVで観ました。米唐番のCMで。元気そうで何よりでした・・・音楽番組では相当の年数見てないです。最近音楽番組で見るのはAKBグループだのジャニーズだのです。CDの年間売上ランキング第一位はここ数年「AKB48」・・・なんだなんだこの異常事態!!
 ウィキペディアでは「CD不況」なる項目があり、AKBグループは握手券その他のAKB商法でCD売上が相対的にランキング上位に上がったとのこと。では本当にCDの売り上げは落ちているのでしょうか?
売り上げに関する資料が見当たらなかったので
のニュース記事を参考にさせていただきました。
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     うーん、音楽配信を合わせても全盛期の半分以下、CDメディアが登場した1990年よりも低いとは・・・これは「不況」と言っても差支えないですな。

 ではその原因は何か?ウィキペディアの記事にかかれているのは、
1.音楽への無関心:要は「音楽なんかに金使えるか」
 しかし下に示すように、
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 とライブ市場は逆に盛況で、単に「音楽にお金をかけなくなった」事が「不況」の原因とは思えません。
2.レンタル市場や中古市場などの隆盛
 まあゲームの中古問題でも大モメした問題なので、理屈としては解ります。しかし、GEOとかのレンタルや中古屋は90年代前半から存在していましたが、上のグラフを見ても売り上げのピークは1997年。近年の落ち込みを考えれば、致命的な原因は他にもあると思います。
3.音楽の違法アップロードの蔓延
 日本よりも違法アップデートが多い欧米でも音楽市場が致命的な打撃を受けていない事を考えると、これも大きな原因とは思えません。
 また一番上のグラフでも判るように、市販音楽市場における音楽配信の割合は変わっていません。つまり音楽配信の隆盛が理由でもありません。

 では、アイクはどう考えるのか?
 まず、経済状況そのものが悪いという事。経済の規模が小さくなれば、娯楽である音楽市場は縮小して当然。しかしこんな一般論ではこのブログを書く意味はありません。それではもう一つの理由それは、
 突然ですが質問です。浜崎あゆみの代表曲は何でしょう?
 名曲ヒット曲有名曲順まとめによると、
1位 SEASONS
2位 M
3位 Boys&Girls
4位 Trauma
5位 independent
6位 Greatful days
7位 Dearest
8位 No way to say
9位 evolution
10位 Voyage
・・・どの曲も10年以上前の曲です。アユは上の曲のリリース年で一番新しい2003年以降も10本以上のシングルをリリースしているのに、です。
 アイクがニラんでいるCD不況の原因はこれです。
 ゲームはコンソール毎に「名作」がありますが、各社がコンソールを更新する度に表現力を増していきそれを利用した「名作」が生まれます。また、WiiでGCのゲームができるような後方互換性の維持やVCの為の準備やシステム構築など、古いゲームをゲーム会社が経済として回せます。しかし、音楽は「どの時代」の「どの会社」の「どの機械」でも「同じように再生できる」ことが重要です。つまり、コンソールの進化による表現力のアップがない。
 アイクは矢井田瞳の曲をずっと聞いているから「歌の変化」を感じとれますが、ファンじゃない人間が「B'coz I Love Youと「もぎたての憂鬱」を連続で聞いても「同じような曲だ」としか思いません。つまり、ファンでもなければ同じ人が関わった曲は同じようにしか聞こえない。小室ファミリーの衰退と売上の衰退が一致しないのもそのせいです。
 すなわち、「名曲」が蓄積され過ぎて「新しい曲」がコンスタントに売れなくなるというのがCD不況の原因であると考えます。「歌い継がれる名曲」というのは聞こえがいいですが、裏を返せば「それ以降の音楽が入る余地が無い」という事です。おまけに「名曲」は「値段弾力性の高い市場」に対抗するために1曲の利益が低くなりがちなため、「そこそこしか売れないベストアルバム」を乱発しないと市場が維持できなくなっているのです。

 ではどうすればCD不況を脱することができるのか?アイクはそもそもの「不況」という言葉に注目します。音楽のコンテンツ自体の価値は高いので「音楽にお金を使っていられるか」の思考を変えさせるのが一番です。
 まず、「名曲」のコンテンツの入手ハードルを下げること。ユーミンの「KATHMANDU」の音源を探すのに苦労したように、様々な理由で音源が手に入らないという事態は珍しくないと思います。各社は曲を新旧問わずどんどん(理想を言えば権利関係をクリアしたすべての楽曲)を音楽配信等で積極的に売り出し、入手のハードルを下げます。そして任天堂eショップなどでやっているように「今週はユーミン特集で割引!」などのキャンペーンを各社行い、ゲームのように古い曲を経済として回るようにし、所謂「ファンではない人」に積極的にアピールすればいいのです。それで音楽に関心を持ってもらう。つまり、「音楽会社」自体が「値段弾力性」を高めるのです。