上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

禁断の果実

 ヤマダ電機担当のソフトバンクの販売員さんにゴリ押しものすごく薦められたので、かねてから検討していたAQUOS CRYSTAL X(白)に機種変しました。僕って意志の弱い人間です・・・しかも主回線は初スマホとはいえ、副回線やタブレットなどでスマートデバイスには慣れているので感動は薄いです。
 もっとも、前のファーウェイのスマホと違って勝手に再起動などの謎機能はないので・・・ってどんだけ粗悪品だったんだって話ですが、高性能スマホとやらは使いやすいです。

 そのスマホですが、国内メーカーの元気がありません。国内のスマホのシェアは例のアップルが半分強、次がなんだかんだでサムスン。シャープ、チョニー、富士通、京セラと続きます。シェアで言ったら国内メーカーのシェアなんて1/4あるかどうかです。フューチャーフォンの頃は国内メーカーが圧倒的に元気だったのに、2017年には生産終了予定で、「機能はガラケー、値段はスマホ、その名はガラホ」に移行とのこと。一体何があったのでしょう?

 まず、なぜ故スマホが普及したか?アップルの陰謀、と言えばそれまでですが、この会社は長い時間をかけてイメージ戦略を作り上げていたのです。
 2001年に「ipod」が発売されて、MDプレイヤーなどの既存のポータブル音楽プレイヤーは壊滅しました。売れた理由はipodのシンプルな外見とPCの普及、そしてたくさんのCDのデータを1度に持ち運べるという利点がうまく合致したからです。もし外見が昨今の日本製品みたいにゴテゴテしていたら?もしPCがうまく普及していなかったら?もしデータを入れても検索がしにくかったら?アップルは今でもマニア向けのマイナー会社のままだったでしょう。たまたまだったか、計算しつくされた結果だったか、アップルはこれまでの「マニア向け」の会社から、「わかりやすくスタイリッシュ」な会社へとイメージを変えていったのです。それからipodは無線LAN対応になり、OS対応のアプリケーションも増やしました。そして2007年、ipodのスタイリッシュなコンセプトを引き継いだ電話機の「iphone」を売り出したのです。日本で発売された当初こそ、料金の高さと「わけのわからなさ」で「スマホなんか必要ない!!」と言われていましたが、WEBが閲覧出来たり料金が下がったりと便利な面が知られて「電話とメールが出来ればいい」層にも広がっていき、スマホがメジャーとなっていったのです。

 実は国内メーカーのスマホって、iphoneよりも高いんです。日本国外ではAndroidが大半のシェアを獲得していますが、それはAndroidがいわゆるオープンソースで、「安物」のコンピューターに入れることができるから。iphoneは高くて買えなくても、スペックが低いAndroidのスマートデバイスなら手に入る人が多いし、日本みたいに携帯電話で何でもしようなんて人もあまりいないからです。
 またよく言われますが、iphoneは国内メーカーのスマホに比べてスペックが低いのです。そして安い。これが何を意味するのか?キーになるのは前述の「電話とメールが出来ればいい」人たちです。スマホで何でもできるけれど、実際のところ使うのは電話とメールとWEB閲覧、ゲームにしたってせいぜいパズドラやモンストでしょう。その他の使う機能だってせいぜい知れています。今はおサイフケータイ機能だって、Bluetooth接続で代用できるICカードもあるらしいではないですか。
 つまり、日本のスマホユーザーの大部分を占めるライトユーザーにとって、iphoneは安いしスタイリッシュでみんなが使っている。壊れると少々厄介ですが特にこだわりもないしiphoneを薦められるからそれにするだけ、僕みたいに「任天堂スマホゲームに参入するからシャープのスマホを」という思考の方がよっぽど物好きなのです。
 さらに言えばアップルは日本で人気があるので、キャリアに「売るスマホの○%はiphoneにしろ」という指示があるのは有名な話。特にこだわりが無ければスタッフはiphoneを嫌でも薦めるのです。
 
 かくして日本のスマホは大半がiphoneになったのです。iphoneの取り扱いやdocomoの韓国メーカーによる「ツートップ戦略」などすっかりiphoneに振り回されている日本のスマホ事情。日本製品「いいもの」よりもより「イージーな方」に流れていくようでは、日本の工業の未来は明るいとは言えません。
 そういう意味では酷評されている「VAIOphone」も一つの可能性かもしれません。他国製品と同レベルとはいかないまでも、今までの国産スマホと格段に安い、その代りスペックは抑えている。当然故障はないか、あってもサポートは手厚い。そういう製品が必要なのではないのでしょうか。