上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

Under The S■E■

 任天堂ファンとして「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を観に行きました。せっかくなので3DIMAXかつ特別席です!!

 ・・・平日だった為かお客が入っていなかったので、特別席でなくてもよかったのですが。

 海外で「黒人が出てない」とかで、所謂「ポリティカル・コネクトレス(以下:ポリコレ)勢」が騒いでいますが、一応マリオを小学生の頃から追い続けて来た僕からすれば、十分ポリコレに配慮した内容になっていましたよ?

 まあ、2000年代辺りからピーチ姫が攫われる頻度が少なくなり、マリカーやスポーツ系ゲーム、スマブラ等の、キャラクターがワチャワチャするタイプのゲームや姫も冒険についていく展開が増えた事を考えると、ポリコレ云々よりか、むしろ非常に自然な展開として楽しめました。

 いや~、やっぱり娯楽映画はこうでなくっちゃな~

 

 さて、任天堂や、映画を制作したイリュージョン社は「ポリコレに屈しなかった」と言われ、賞賛されていますが、逆に完全にポリコレ勢に屈してしまったのがディズニー社です。

 近年のディズニーは、過去の名作映画の実写化に重きを置いていますが、「ピノキオ」や「ピーターパン&ウエンディ」で、本来白人女性の妖精のキャラクターを黒人女性に変えてしまい方々から非難を浴び、アニメでも「ストレンジワールド」や「バズ・ライトイヤー」でも盛大にやらかしました。というか、ピノキオの予告編のラスト付近で件のブルーフェアリーが登場したんですが・・・ひょっとしてあの演出はむしろ笑わせに掛かって来ているのでしょうか?

 そんな(ほぼ否一色の)賛否が分かれているディズニーが、今月の9日に満を持して投下する核燃料公開する映画こそ「リトルマーメイド」です!!

 僕がリトルマーメイドの予告を劇場で観たのは、「スズメの戸締り」を観に行った時。まだ本編上映前の映画予告の時間ではありましたが、僕が受けた衝撃たるや、アニメ本編を遥かに超えるものでした。

 驚愕です。

 僕はディズニーアニメには疎いですが、流石にリトルマーメイドの主人公の名前や容姿ぐらいは知っています。どう見ても、アニメのアリエルとは程遠い。

 いや、そもそも海の中に住んでいるんだから、紫外線が届かない以上有色人種になるワケが無いだろう!!

 どう考えてポリコレ忖度以外の何物でもないのですが、アリエル役のハリー・ベイリー女史や制作側は「あくまで歌唱力や演技力により選ばれただけだ」として譲らない姿勢を見せていました。

 まあ、ブルーフェアリー然りティンカーベル然りアリエル然り、キャラクターの設定的に人間ではないのだから、どんな見た目でもいいのでしょうが。実際に日本でもそういう擁護をしているパヨがいましたし。

 「もうこういうキャラなんだ」と、「紫外線とかメラニン色素とかカルシウムとかビタミンDとか、なんかそういうのとは無縁のサムシングが関与している生体なんだ」と、「ドレッドヘアーなのも、なんかこう、人魚特有の自然にドレッドヘアーになっちゃう髪質なんだ」と、「そういう設定なんだ」と自分を納得させれば、まあ、「そういうモンである」と思えると思えるレベルでもあるんです。ハリー女史ってめっちゃ歌上手いし。しかし、そこはポリコレ勢に屈したディズニー、滝沢ガレソさんが投下した事前情報で、僕は完全にディズニーが嫌いになりました。

 それが、

 アリエルには6人の姉妹がいるそうなのですが、なんか、もう・・・

 

 取り合えず人種ぐらい統一した方がいいのではないでしょうか?

 アニメでは「あ、この7人は姉妹なんだな」ってことが見ただけで分かるのに、実写になった途端コレは酷い!

 そのためネットでは「連れ子」だの「不倫の子」だの叩かれ放題。まあ、でも、ひょっとしたら婚前交渉も不倫も「性の多様性」の一種なのかもしれません。知らんけど。

 前、なんかのサイトで「男女が複数で暮らしてそれぞれ自由に性交渉する集団」という、人類史に中指を立てるような連中がいるというのを知りましたが、それも「LGBTQ」の一種であり、アリエルの御父上と御母上も3人づつくらいいるのでしょう。知らんけど。

 それに猫とかも同じ両親から全く違う毛色の子猫が生まれてくるじゃないですか。そんな感じで人魚特有の生殖に関するサムシングがあるんでしょう。知らんけど。

 人魚には神秘的な設定がた~くさんありすぎて、人間が演じるのにはどうしても限界があるだけなんです。知らんけど。

 

 まあ、ハッキリ書きますが、

 個人的にこういう配役が一番嫌いなんです。

 

 仮に、人魚に関して人間のそれとはまったく違う設定があって、あくまでそれに沿った、適材適所の配役だったとしても、態々それを「リトルマーメイド」でやる必要なんてどこにも無いんです。

 仮にハリー・ベイリー女史以上にアリエル役に相応しい人がいない、制作陣にとってハリー・ベイリー女史はアリエル役として唯一無二の存在なんだとしましょう。

 ならば、黒人がアリエルを演じるにあたって、できる限り違和感を無くすような映画作りをする必要があるのです。

 それこそ、黒人の人魚を大勢登場させて、「アリエルの肌の色は、人魚の世界では決して珍しくはないのだ」と、直感的に分かるようにしたり、「6人の姉妹」という重要な役柄であるなら、見ただけで「アリエルとこの6人は姉妹なんだな」と直感的に分かるようにしていただかないと、「何でアリエルは人魚なのに有色人種なんだ?」とか「何で姉妹なのに人種が違うんだ?」という疑問やそれに対する考察という、映画を楽しむに当たって余計な思考を挟まざるを得なくなってしまうのです。

 映画はただ「見れ」ばいいってモンじゃありません。「楽しむ」ために映画に行くのです。庵野映画ならともかく、ディズニー映画という娯楽映画を楽しむのに、アリエルやその姉妹の人種の隔たりというのは、余りにも不親切な要素にしかなっていないのです。

 

 実際に演じているハリー・ベイリー女史はともかく、その他の制作陣がポリコレ勢の関与を、ただひたすら否定しているだけなのがそもそもの原因でしょう。

 上述した通り、アリエル役を有色人種で押し通すなら、それ相応の描写が必要ですし、そうでなければ素直にポリコレ勢への配慮を認める方がよっぽど潔い。

 ただひたすらポリコレ勢に言われるがまま脳死で重要なキャラクターの配役を決める上に、上面だけ「ポリコレは関係ありません」という、薄っぺらい見え透いた嘘をつき続けるディズニー社に好感を持てる訳がありません。

 

 別に僕は黒人の役者が嫌いって訳ではありません。

 僕は「ダイ・ハード」シリーズや「MIB」シリーズが好きですが、ダイ・ハードのアル・パウエルや同3のゼウス・カーパーは、魅力的な黒人の相棒キャラでしたし、同4に登場したFBIのボウマンは見た目も役柄も非常にカッコイイ。MIBシリーズでウィル・スミスが演じるJが最初に黒服に着替えたシーンで「同じスーツでもアンタとは違うぜ、オレ決まり過ぎ」ってキメるシーンは黒人俳優でなければ絶対に演じられない名シーンでしょう。

 黒人女優に関しても、日本では古来より「褐色萌え」というジャンルがあり、日本人が黒人を排斥しておらず、それどころか黒人本来の魅力を十分に理解している確たる証拠と言えるでしょう。ちなみに褐色萌えにおける最萌キャラは「ふしぎの海のナディア」のナディアで間違いないでしょう。異論は認めん。

 その他、日本には修道「BL」「百合」といった同性愛に、「ハーレムモノ」や「TSモノ」まで網羅しており、所謂「LGBT」に関しても極めて寛容な文化があり、いわば、日本というのは、時代錯誤どころか、ポリコレにおける最先端の価値観を常に持ち続けている国なのです。

 そんな最先端な日本で安っぽいポリコレなど受け入れられる訳がありません。

 

 上述の黒人のキャラクターや作品に関しても、人種に関する問題や葛藤がちゃんと物語に組み込まれているため、黒人が登場することへの違和感があるどころが、むしろ「この役は黒人でないと成立しない」と言えるほど、完成度が高い。即ち、作り手がしっかりと作品と向き合い、「どうすればより面白くなるか」を必死に考えた証拠なのです。

 ディズニーに関しても、ポリコレがまだそこまで酷くなかった時期の「スターウォーズ エピソード7 フォースの覚醒」で、ヒスパニック系のポーや黒人のフィンが登場しても、近年ほどの違和感は無く「逆に新鮮」であり、フィンに至っては作中の描写から、奇しくもゼウス・カーパー役のサミュエル・L・ジャクソンが演じたメイス・ウインドウの血縁者であるという考察がされるという、「黒人である」ことに意味のありそうな配役でした。もっとも、「8」ではそこを掘り下げず、やった事と言えばこれ見よがしなポリコレキャラのローズの追加。しかも「9」ではフィンはランドの娘と思しき黒人女性とくっついて、ローズの出番を大幅削減とそれはそれで失礼な対応。「フィン、メイスの血縁者説」とか、めっちゃ面白そうな話が作れそうだったのに。

 

 まあ、100歩譲って、ポリコレ忖度の配役になってしまうのも時代の流れというものでしょう。表現というのはその時代の情勢で容易に変化してしまうものです。そんでもって、ポリコレ忖度を隠したいというのもまた人情でしょう。

 ただ、ポリコレ忖度をしたらしたで、「その中でどうすれば違和感なく、面白い作品を作れるか」というのもっと考えていただきたいものです。

 

 ちなみに、名前とか知らないですけど、アニメに登場する魚っぽいキャラクターやロブスターっぽいキャラクターが、実写版で丸っきり魚や海老になってしまって騒ぎになりましたけど、これに関しては、僕はむしろ「アリ」だと思っています。

 アニメだからディズニーっぽい大仰なアクションが自然に見えるのであって、そのまま実写映画で立体化してもそれはそれで相当な違和感があるでしょう。役者の人種の問題があって完全にネタ映画になってはいますが、そもそもシリアス寄りかコメディ寄りかの方向性があまり定まっていなかったかもしれません。