On Your Mark 考察:シーン毎総論
「天使」:カワイイ女の子。マジ天使
「チャゲ」:二人組のグラサンの方。ノリがよさそう
「飛鳥」:二人組のイケメンの方。ラスト直前まで無表情。正義感が強そうな彼がこの20年後シャブでしょっぴかれると誰が思ったか。
On Your Markの考察はいろいろな方が行っていて、「全ては二人の妄想オチ」から「1週目:幼年期、2週目:青年期、3週目:高齢期で人生やある種の悟りのメタファー」、さらに「最後に二人は放射線で死んだ」から「実は生きてる」まで様々あります。納得する部分もあるのですが、僕はちょっと違う感じを受けました。
さて、画像も歌詞も使えないので、解りにくいかとはおもいますが・・・
これ、この後の「天使」の扱いから、教団が「石棺」から「天使」を盗み出していることろではないでしょうか。「誰が載っているのか分からない」というのはこのアニメにおいてきわめて重要なファクターです。
2:前奏2、地下世界を警察の車両が何機も飛んでいく。目的地はカルト教団「聖NOVA'S CHURCH」。車両はそもまま突っ込む。
車両の「4」は「死」の暗示か
3:Aメロ1、2の途中、警官が出てきて信者たちと交戦。
「いつもの姿と・・・」信者も銃で応戦していますが、警官は重火器に手榴弾とほぼジェノサイド同然。歌詞からこれが警官にとってのある種のルーチンワークになっていて、権力側が平然と虐殺、弾圧を繰り返すデストピアとなっている。
尚、このアニメでは3人以外に個人を識別できる人はいない。ネットの過剰なコメントで顕著だが、自分も相手も「顔が見えない」と言動が過激になりやすい。関係ないかもしれませんが「この庵野」の「エヴァ」の25話での戦自のジェノサイドも基本的にモブのネルフ職員はほとんど無抵抗。警官も「誰を殺害しているのか?」をあまり深く考えていない(考えないようにしている)のかもしれない。
「その手を離せ・・・」権力側の失墜を暗示か?
4:Aメロ2の途中から、犠牲者の一人の顔を確認。
「落ちていくコイン・・・」そもそもコイン(=通貨)はなぜお金足りえるのでしょう?それは権力側がその価値を保障しているからです。円が強いのは、それだけ日本政府が世界に信用されているから。つまり、コイン=権力。
犠牲者の1人は年端もいかない女の子でした。この時二人は、「凶悪なカルト集団」の実態は権力側に不満を抱いている(パヤヲのインタビューより)ただの市民であることを思い知りました。本当に権力(警官は公務員)に盲目的にしたがっているだけでいいのだろうか・・・?
5:Bメロ1、二人「天使」を見つける・
天使の顔は先ほどの女の子と同じ。つまり、天使自体がそこに存在しているわけではない。傍らの赤いカンは血のメタファー?
6:サビ1途中、いきなり黄色いオープンカーにのって二人が天使を空に還す。風景は自然いっぱいで石棺どころか町もない。
ここから本格的にループ構造が始まります。僕が感じたのは、例えばゲームにおける「お手本プレイ」のようなものだと思っています。友達の家で見るロックマンなんか見ると実にカンタンそうにプレイしています。いろいろ複雑でアクションゲームだけではないのですが、「こういう風にクリアすればいいんだ」と思ってソフトを買って来るが・・・
7:サビ1途中から、天使を連れてくるが三葉マークの車両に連れて行かれる。ボー然と見つめる二人。
買っては来たものの、リフトで何度も何度も落ちまくる、最初の梯子にたどり着けない。あれ?
8:Aメロ3、4途中、居酒屋にて、二人無言。二人の部屋では一転して「飛鳥」はパソコンで調べもの、「チャゲ」は何かを作っている。また居酒屋。
「心の小さな空地・・・」歌詞だけ聞くと二人が言い争っているように感じるが、二人にそんな様子はない。つまり、「本当にこれでいいのだろうか?」をお互いに考えている(葛藤)。居酒屋が2回出ているので、「天使を空に還すには?」という葛藤と、「本当にこれで(花束から二人は警官を辞めた)よかったのだろうか?」という葛藤。←「・・・それが答えのような」、自分たちは天使がただの危険物ではないことを知っている・・・
ちなみに居酒屋のシーンで、「塩サバ(合成)」「バイオ蛸酢」などから「汚染されて海産物が獲れないのか?」と言われていますが、同時に「めざし」「やきとり」が時価ながらもモノホンなので、少なくとも海が汚染されていない地域は実在する可能性大。また飛鳥が飲んでいる透明なお酒は米や麦、イモといった穀物からしか作れない。(工業エタノールを薄めて人間が飲めるようにしているかもしれないけれど多分全然おいしくない)大量生産できるぐらいの土地が必要になります、本当に地上は汚染されて誰も住めないのでしょうか?
9:Aメロ4途中から、Bメロ2、天使が監禁されている施設に侵入。防護服の隙間から特殊ガスを入れて職員を気絶させる。チャゲがさっき作った機械で天使の拘束を解き飛鳥が連れ出す。壁からランプが出てきて(構造に無理あり)警報が鳴る。
「針の消えた・・・」警官なんだから銃器で制圧してもよさそうなものを、いちいち一人づつ無力化していく。警官時代、つまりこの世界の常識のようなものを徹底的に否定する。
「全てを認めてしまうには・・・」自分たちはまだ世界を否定する事ができる。そうしてみせる、ある種の決意。
10:サビ2、間奏、例の車で脱出を図るも警察の車両に阻まれて車が落下。2人はなんとか天使を逃がそうとするが・・・
天使はそんなに重要なものなのか?
第2ループのラスト。ロックマンの例えから変えて申し訳ないですが、このラストは「必要なフラグを立ててない」ことによる所謂バットエンドと考えています。あれ?ちゃんと攻略したはずなのに、自分では持てる技術や知識をフル動員したはずなのに。何故?
11:サビ3、第3ループで基本的に既出の場面ですが、天使を見つける場面に笑顔で空を舞う天使の場面が挿入。落下した車がホバーして外壁の住宅地に突っ込み見事成功。
天使が飛ぶシーンは「クリアに必要なフラグが立った」事を暗示していると考えます。ではそのフラグとは?
落下した車がホバーするシーン。「奇跡」とする意見もありますが、作中世界のリアリティを考えると、橋のような通路で建物が繋がっている都市構造ならば、車には安全の為に「落下しても大丈夫」な装置をつける必要があるはずです。ひょっとしたら飛行車両ばかりになって一般の人は知らないかもしれません。
そして第2ループでは二人が気付かなかったのだと思います。その証拠に二人の葛藤シーンが、第3ループでバッサリとカットされています。即ち、この「ゲーム」における攻略法、生きていくうえでのライフハックのようなものを見出している「=クリアフラグが立っている」に繋がっています←「・・・行けそうな気がするから」
12:サビ4-1、トンネルを走る車、天井には「注意閃光!」「不保障生命!」のランプ
これでもかと「地上が危険」であることを示す看板。そういえばランプの色は紫で彼らが乗っている車の補色。
「走り・・・」実は汚染されているのは出口の近くだけではないか?「流行の・・・」実は生存可能なレベルの放射線量しかないのではないか?
14:サビ4-3、デカデカと「EXTREME DANGER(メッチャ危険)」のゲート、その先は冒頭の石棺の町。天使を空に還そうとする二人、天使はチャゲの手をとり離陸体制をとるも遠方に「何か」を見つけて静かに微笑む。ふたり、最後の別れ。飛び立った天使は彼方へと飛んでいく。最後に俯瞰で、車が右へ大きく道を外す。
石棺の近くには本当に危険な放射線量なのか?
天使が何を見たのかが判れば楽勝なのだが・・・それでは考察にならないか。
最後の二人は死亡したのか?石棺の周りは木が生い茂っている。侵入を阻止するための有刺鉄線は朽ちて三葉マークの標識があるが、有刺鉄線は低く仮に新品でも多分乗り越えるのは容易だし放射線が漏れて相当危ない中金属製の標識をわざわざ誰かが置いたことになる。即ち、何をどう考えても人が数分で即死するような放射線量ではない。
以上。各論はまた今度。