上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

選びしは、正しき道

 去年あたりに「カセットテープの人気再燃!」的なニュースがやっていましたが、現在はどーなんでしょ?

 アイクが音楽を買うようになった時はすでに世の中CDになっていまして、しかもヤイコだの鬼束ちひろだのにハマって音楽を外に持ち出した時のメディアはMDで、カセットテープの思い出なんつったら保育園の時に聞いた「こども名作劇場」くらいだったり。らんららんらら~んのおおのてるこさんは元気でしょうか?

 そんなわけでもしアイクが1970年代のカセット華やかなりし世代だったら、どうなるか考えてみました。

 1970代は安価な音楽ソフトが存在せず、ラジオから流れる音楽やテレビの音楽をカセットテープに録音して聞くという、「エアチェック」なる作業が主流だったそうです。カセットテープの弱点は、再生の時に記録部が機械と物理接触するため聞けば聞くほど劣化することです。つまり、カセット1個だと心許ないということ。アイクはPCに入っているMP3もいちいちコピーして作業するほどの人間なので・・・
 まずラジオ雑誌や音楽雑誌でお目当ての曲を探します。まあここまではみんなと同じです。
 次にカセットを準備。カセットの記録時間は5分から150分(!)までありますが、150分や120分などの超長時間のカセットは記録部が薄く、すぐに絡まってみょんみょんになる所謂「ワカメ」状態になってしまうので、なるべく分厚く録音時に時間的に前後に余裕がある10分のカセットを使うでしょう。
 そして録音。
 録音済みのカセットの爪を折って書き込めないようにします。これが「0マスター」になります。
 続いて曲の長さピッタリの5~6分のカセットに曲の部分ピッタリにダビングして爪を折ります。これが「第1マスター」。
 続いてそれをまったく同じカセットにダビングして爪を折ります。これが「第2マスター」。
 続いてそれをまったく同じカセットにダビングして爪を折ります。これが「第3マスター」。
 同じ文章が2つ続いたでしょう?そして「第3マスター」から各60分とか90分とかのカセットにダビングして普段聞くようにします。
 あと可動部の劣化でマスター作りに支障がないよう、プレイヤーも2年に1度くらい買い替えないと・・・

 ・・・「めんどくせー奴だな」って思いました?思いましたよね?いいんですよ思ってもらって。

 1980年代になって貸しレコード屋さんができて、安価に曲を手に入れることができるようになりましたが、それでもアイクは「第1マスター」を作る所から始めるでしょう。しかも当時は音楽バブルとかではなかったので、今ほど音楽マスターを所望しなかったでしょうが、それでも音楽にハマったアイクはひとよりたくさんのカセットを作り出すでしょう。なんせマスターだけで3つも4つもあるのですから。

 そう考えると現在の安価なCDや書き込み呼び出し自由なMDやMP3がある現状は、アイクにとって非常にとり回しが利く最良の環境と言えるでしょう。
 ああ、現代に生まれてよかった。