上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

娑婆にいるって事が、素晴らしいことだって、どんな言葉より解るよ

 小3くらいだったと思うんですが、「魔法陣グルグル」ってアニメやってたみたいでしたが、この年になってエンディングの「Wind Climbing 〜風にあそばれて〜」っていう歌を聴いて、感動してアマゾンでCD買ってしまったのです。多分その頃、毎朝クラスで「自分の宝物紹介タイム」的なものがありまして、僕は小さいころからお気にだったクマのぬいぐるみを・・・じゃなくて「かっとばせキヨハラ君」を持って来た奴がいまして、僕はその頃から野球とかにトンと疎かったので、「そーいえばそんな名前の野球選手がいたな」ぐらいに思っていました。

 それから20年以上たったのでしょう。そのキヨハラ君が今日、覚せい剤の所持やら使用やらの罪状の初公判に臨んだのです。多分蒼井うさぎのりぴーが薬物所持で逮捕された時だったと思うのですが、これまでも芸能人が薬物で逮捕されたニュースを幾度となく見て、「芸能人とかは人の目に常に晒されている。薬物を使う事はいけないけれど、手を伸ばしたくなるような環境に置かれているんだな」って思ってしまったのです。清原もそーいったプレッシャーに・・・って、違法は違法だよ。ダメなものはダメ。

 思えば清原の人生は「順調」とはほど遠いものでした。KKコンビと持て囃されたの束の間、本命の巨人に入団できたのは相方の桑田の方。西武に入団したものの、巨人で活躍する桑田を指を咥えて見ていたのが目に見えるようです。わかる、よくわかるぞ清原。おそらくはどうにかして巨人に移籍できるかに腐心していたはずです。わかる、よくわかるぞ清原。やっと念願の巨人に入団できたと思ったら、その大半がケガで戦線離脱。多分これまでの無為な人生を取り戻したかったのでしょう。わかる、よくわかるぞ清原。結局巨人で活躍できずに引退。余りにも成績が悪くて、監督どころかコーチの話もナシ。わかる、よくわかるぞ清原。荒れた生活で奥さんとも離婚。わかる、よくわかるぞ清原。・・・ん?僕も清原に感情移入してしまっているではないですか。
 
 薬物事案の本質はこういうところにあるのではないでしょうか。清原は19年間の野球人生の中で「このままこの環境でいたい。この調子でずっと続いていけたらいい」と思った瞬間ってあったでしょうか?19年間で1回でも物事が裏目に出なかったら、1回でも「成功」していれば、どんなに辛くても薬物に手を出そうとは思わなかったのでは。清原のこれまでの経緯には一般に人とは違う要素も多いとは思うのですが、逆に言えば清原の人生にそういった要素が無ければ覚せい剤には手を出さなかった、或いは他の人も清原と同じ要素があれば薬物に手を出していた可能性も十分あるのです。
 犯罪を犯す人以外にも、失敗を繰り返す「要領の悪い人」というのはどんなに自分の幸せを願っても、無意識のうちに「自分は不幸な方が性に合っている」と思ってしまっていると言われています。
 
 つまり、薬物に手を出して逮捕される人と手を出さない人、紙一重で生きているのです。
 
 清原のニュースを観て「バカだな、自分は絶対に覚せい剤なんか手を出さないのに」って思う人も、何か一つ間違っていれば同じ道を歩く可能性がかなりあるのです。薬物に手を出さない人も、「幸運にも薬物に手を出さずに済んでいる」と言ってもいいかもしれません。