上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

(NOT)の意味

 ヱヴァンゲリヲン新劇場版のサブタイトルには全てに(NOT)がつきます。この意味は何なのでしょう?
 考察する人の共通認識はNOTがつく展開とつかない展開の2つが並行して存在しているということです。
 序→YOU ARE (NOT) ALONE.:あなたは孤独(ではない)。
 破→YOU CAN (NOT) ADVANCE.:あなたは発展できる(できない)。
 Q→YOU CAN (NOT) REDO.:あなたはやり直すことができる(できない)。
 よく言われるのが「破」や「Q」の予告と本編がそれぞれ並行して存在するというものです。この説の根拠として予告の映像と本編の映像にあまり共通点がないことが上げられます。しかしこの説だと「破」の予告があくまでALONE分岐の「似たような別物のシーン」であるのに対し、「Q」の予告はADVANCE分岐の「公開された『Q』とは全くの別物のシーン」になっている点がややおかしいです。では、アイクはどう考えるか。注目しているのは「アイキャッチ挿入のタイミング」です。
 本編をよく見ていただくと、「序」のアイキャッチが挿入される寸前のシーンではシンジはミサトに家出とエヴァに乗ることについて咎められ、「嫌なら出ていきなさい。全てあなたの自由よ」。と言い渡されます。そして挿入後にトウジと和解します。アイキャッチが挿入されるタイミングでALONE(シンジが去る)とNOT ALONE(シンジが残る)が分岐したとしたら?
 「破」ではアイキャッチが挿入される直前、ミサトがアスカに料理会の招待状を渡します。そして挿入後、4号機の事故が起こります。もし4号機の事故が起きなかったらアスカは負傷しなかったし、その負傷が無ければシンジは第十の使徒戦であそこまでの激情に駆られてサードインパクトADVANCE)は起きなかった可能性は十分にあります。
 では「Q」は?アイキャッチが挿入された直後、冬月が「ゼーレの少年が第3の少年に接触、外界の様を見せたようだ。果たしてどう受け止めるか・・・」。と言っていますが、もし13号機に乗ってヴィレを攻撃するなど展開と違う行動をとって、そのあとゆっくり槍を抜いても結局NOT REDOにしかなりません。フォースインパクトは起きるかも。ではこの「アイキャッチ仮説」は間違っているのではと思われました?実はこの仮説で、ある事が推定されすのです。
 まず第一の事実として、「槍が刺さったリリスの元へは封印されていて、14年間誰も侵入していない」
 第二の事実として、「ロンギヌスとカシウスの二つの対の槍が必要」
 第三の事実として、「カヲルが『槍の形状が2本とも変化している』事を意外そうに話す。」
 ここまでを念頭に置いて下さい。
 まず槍が刺さったリリスの元へは封印されていて、14年間誰も侵入していないため槍をすり替えることが不可能で、「槍自体が変化している」と考えるべきです。またカヲルが意外そうに話しているため、「槍自体は変化しないはず」のものです。そして二つの対の槍が必要であり、カヲルが変化に気付いた以上REDOは絶対に不可能です。つまり予告で分岐世界を現わした場合「Q」(NOT)分岐は起こりようがないのです。ではなぜ絶対に変化しないはずの槍が変化したのか?シンジには「リリスに干渉する能力」があり、干渉されたリリスが槍を変化させた可能性があります。
 一見突飛な「可能性」ですが、思い出して下さい。「破」のラストにてTV版とは違い、シンジはロンギヌスの槍なしでサードインパクトを起こしました。また13号機で槍の抜こうとしたときはシンジの単独操縦に勝手に切り替わり、カヲルの様子から想定外の出来事であることがわかります。どちらも、シンジに強い感情があった時です。つまり、シンジの感情によってエヴァは変化するのです。また、リリスは人類の始祖でありながら、本質的には使徒と同じものです。そしてエヴァはA.T.フィールドを展開できて、第九の使徒に乗っ取られるなど、使徒と親和性が極めて高い存在です。(TV版みたいに「アダムやリリスから作られた」と明言されているのは、Mark.06とMark.09だけです。)もし、シンジが「外界の様」を見てどう受け止めるかが変わったら、リリスが変化せず、槍も変化せず、REDOしていたとすれば?