上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

「エヴァの呪縛」とは

 アスカが14年間姿が変わっていない理由として、アスカ自身が「エヴァの呪縛」と言い、それが何なのかよく解らないうちにみんななんとなく納得しているのが現状です。では、実際のところ何なのでしょう?
 「エヴァの呪縛」というセリフを言葉だけ聞くと、エヴァンゲリオンパイロットの姿形に関して何かしら干渉する能力ー副作用のようなものがあり、「破」の段階ではその能力が解らなかったように聞こえます。で、マリは冬月のゼミの一員であり「エヴァの呪縛」によって姿を留めているという仮説が成り立ちます。しかしこの仮説、マリが「破」に登場している以上、「破」の段階で誰かが能力を把握していないとおかしいことになります。また「破」の冒頭で「エヴァとのシンクロは聞いていたよりキツイ」と語っていて、「エヴァの呪縛とはエヴァとのシンクロの副作用である」という仮説と矛盾します。先入観なしで「エヴァの呪縛」の意味を考えてみます。
 「Q」の世界において14年間特殊な状況に置かれない状態で「姿が変わっていない人物」は誰でしょうか?答えはマリだけです。
 アスカは第9の使徒戦で重傷を負い、「使徒による精神汚染」の可能性があり隔離させていました。隔離室にはテタニアベースやQの予告に登場する「凍結された初号機」の周りなどにあった赤と黒の柱がありました。この柱、使われている状況から使徒エヴァンゲリオンの動きなどを制限するものと思って間違いないでしょう。それがアスカの隔離室にある・・・まずこれを覚えておきましょう。次にターミナルドグマ?で槍を抜いた時に第12の使徒が蘇生し、カヲルが「13番目の使徒に堕とされ」ました。ということは、使徒が特別な接触をした瞬間にパイロットに何らかの干渉があると考えられるのではないでしょうか。つまりアスカは第9の使徒接触した時に干渉された可能性はないでしょうか?アスカの隔離室に赤と黒の柱があったのも、単にTV版の「精神汚染」ではなく俗っぽく言えばある種の「憑依された」状態とでもいう状態になったのではないでしょうか。もっと言えば「Q」でアスカはプラグスーツ以外の服装はしておらず、脱いだりするシーンもありませんでした。そうなると表面上身体は治癒したけれど「使徒による」何かは残っていたり、ともすればサイボーグのような状態になっても不思議ではありません。「呪縛」という表現も、アスカは参号機に搭乗する直前までエヴァに対して特別なこだわりを持っていて、そのこだわりが参号機に搭乗するきっかけになり、使徒の浸食を受ける羽目になったことを考えると、自身に対する皮肉を込めたものと考えることもできます。
 シンジも「破」のラストで第10の使徒だったものが初号機に取り込まれる場面があります。アスカ同様使徒による特別な接触がありました。そうゆう意味ではシンジもアスカも「リリン(リリスから生み出された普通の人間)」ではないのでしょう。Qのラストで「L結界濃度」が高すぎて「リリンが近づけない」地点に居ることができるので明らかですが。
 ではマリはなぜ姿が変わらなかったのか? マリの正体に関しては「アスカの母親(TV版の惣流・キョウコ・ツェッペリンに相当)であり、Qで冬月がシンジに見せた貞本テイスト溢れる写真に写っているメガネをかけアスカの髪形をした女性。巨乳なのは視聴者サービスではなく妊娠、出産のためで、出産後にエヴァの呪縛で姿がそのままになった」という仮説があります。しかしエヴァの呪縛が「エヴァパイロットになったことの副作用」と必ずしも決められないということは別の可能性も視野に入れなければなりません。
 Qのアヤナミレイ(仮)(←ここまでが正式名称らしい)はユイのクローンであり、あの姿のクローンが他にもたくさん保存されていました。しかもユイは「コアへのダイレクトエントリー」によって「初号機の制御システム(SFに出てくる人格OSのようなものか?)」になっています。アスカが参号機とのシンクロが理論上可能で、その後「Q」で弐号機を普通に操縦できることも加味すると、新劇場版においてエヴァの操縦は「エヴァの魂とのシンクロ」ではない可能性があります。また、レイは「リリンの模造品なので魂の場所が違う」ので、槍が抜けないという設定でした。つまり新劇場版において「魂」とはTV版のように「生きた人間や使徒にしかなく、ネルフにとっても安定的な供給が大っぴらにできないもの」ではない可能性があります。「魂」の定義が違う新劇場版ではクローンの魂も供給できる状況にあると考えられます。マリ自体は例の冬月ゼミにいたメガネの女性でアスカの母親、そして「貞本エヴァ」のラストに登場した「真希波マリ」に相当する人物で、TV版でもその世界に存在はしたけれど「表立って登場しなかった人物」だと考えています。しかし真希波・マリ・イラストリアスはアスカの母親のではなく、レイと同じように真希波マリのクローンなのではないでしょうか?
 別の機会にあげるつもりだったマリの正体の考察を少し書いてしまいました。今回はこのへんで。