上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

超えろ、ゆうしゃたち

 「時事川柳(たまに平和川柳)」、それはツッコミに疲れた心を「クスリ」と癒す中日新聞の清涼剤。
 総裁選の話題が出始めた頃、そんな時事川柳に載ったのが「西郷どんの、ような総理を望みます」
 大河ドラマの西郷吉之助が「じゃっとん、腹を割って話し合えば相手も解ってくれるハズじゃ!!」を連呼していた時なので、改憲を進める=戦争を起こそうとするのロジックの方々には「話し合いで戦争を回避する」吉之助さんが理想の総理だったのでしょう。
 ただ、その時ですら「イヤ、この人西南戦争起こして自刃したしwww」と一笑したのですが、あの投稿者は今、どんな気持ちでテレビを観ているのでしょう?

 学生の頃から、所謂「韓国や北朝鮮を悪く言う大人」は周りにいました。高校生の頃まではそんな人達を単純にレイシスト呼ばわりしていましたし、「そこまで言って委員会」を観だしても精々「韓国や中国は統治能力が無いから、ガス抜きとして日本をスケープゴートにしている」止まりで、国としてのアイデンティティーを持つ韓国を口汚く文句を言うのはイカガナモノカ?と思っていました。
 しかし今年、それもここ2カ月の間で、日本全体が「韓国や北朝鮮を悪く言う大人」に一気に傾いています。
 まあ竹島従軍慰安婦はツカミのボケみたいなものなのでいいとして、まずは10月の初めの国際観艦式での旭日旗禁止問題。
 元々韓国は旭日旗に関して何の文句も言っていなかったのに、2011年のサッカーの試合で韓国の選手が猿真似をして文句を言われた時に「日本の応援席に戦犯旗である旭日旗があったからだ!」と言い訳をしてから、なぜか「旭日旗は日本が戦時中に使用した、ナチスハーケンクロイツと同等の戦犯旗だ!!」とそれまでも問題視されていたかのように韓国世論が言い出しました。まあその時は毎日や朝日、中日は「日本は反省が足りない」を言い出しました。(ちなみに応援席に旭日旗はありませんでした。2011年以降、朝日新聞は社旗を韓国で掲げていないそうです)
 「またか・・・」と日本が呆れて観艦式の出席を見合わせたら、こともあろうに豊臣秀吉朝鮮出兵を防いだ李舜臣の旗を駆逐艦に掲げるという暴挙に出ました。このあたりから「韓国を悪く言う人」の説得力がどんどん高まっていました。
 次に徴用工判決。これまた2010年台にいきなり韓国が言い出した「戦時中の犯罪」であり、しつこく「従軍慰安婦」を言われた僕の学生時代にすら聞かなかった単語であり、韓国の国としての品位を本気で疑っていた中での異常な判決に日本人の怒りは有頂天。NHKは「それでも隣国でありお付き合いしないといけません」と諦めムードがアリアリと伝わり、毎日中日ですら匙を投げ、韓国を擁護するのは朝日のみという惨状に。
 そして、防弾少年団の原爆Tシャツ騒動。元々韓国では「原爆は日本を懲らしめて韓国を解放させた」という教育を施しており、言ってみれば学校の先生全員が日教組のようなものなのですが、そのような内容のTシャツを公共の場で着てSNSにうpするという・・・「火に油」どころか「油を注いだ火でガソリンを煮詰める」に等しい所業が見つかってしまったのです。更にはナチスを彷彿とさせる言動も見つかり(「防弾」のクセに被弾しまくり)ユダヤの団体からも文句を受け、やっと事務所が通り一遍の謝罪文をHPに掲載した(日本が騒いでいた時期は何もしていない)上に、「日本に対して本人達が謝った」ことは一度もないと・・・
 ついにテレ朝の「ミュージックステーション」の出演が取りやめになり、当然紅白もお流れ。朝日すらも実質匙を投げたのです。

 そんでもって先週の「西郷どん」。なんというか、最悪にも程があるタイミングでの放送でした。
 「使節として朝鮮に行く西郷を大久保が止める」という内容で、「仁徳で事を収めようとする吉之助さんが善玉で、国を強くして朝鮮からナメられないようにしようとした大久保が悪玉」という構図にしたかったのは明白ですが、吉之助さんの「じゃっとん!!腹を割って心を尽くして話し合えば・・・!!」というセリフに、恐らく視聴者のほとんどはこう思ったことでしょう。
 「話し合いが通用する国か!!」と。
 大久保の野心が描かれたものの吉之助さんの言動の説得力は加速度的に無くなっていきました。収録時期からして徴用工問題が起きた時期、鈴木亮平も言っててさぞ空虚な思いだったでしょう。あのセリフを納得していたのは笑福亭鶴瓶ぐらいです。
 
 「西郷どんの、ような総理を望みます」
 そんな総理で、いいはずがない。

 追伸:プレゼント鯖はマリーにしました。