上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

ワタシヲ カンセイ サセナサイ

 今頃になって流行モノに手を出すのがアイクというものです。つーか、単純に世間様の出来事に関心を向けられないというか、テレビで「あれが流行っています」とか「これが大人気」とか、そういうものをなんとなく聞き流す癖に、いざ何かの拍子にそれを見てしまうと「ほしい」とか「やりたい」と思ってしまい、結局世間様の流行から1周くらい遅れてしまう・・・という「俺は流行なんかに流されない人間」気取りになってしまうのです。
 しかもそういう時って結構疲れてるんですよね。なんでもないときはPOPに「今大人気!!」とか書かれていても「ワロスwww」で済ませられるのに、何か精神的な疲れがあると「どーしよっかな~」となってしまう。特に、数百円しかしない文庫本だと大抵買っちゃうという失敗を幾度となく繰り返してしまいます。

 で、今回買ってしまったのが「カエルの楽園」・・・
 ぶっちゃけ、出版当初から「こんな内容です」っていうのがネットニュースに載っていたし、そこに書かれていることたるや、「そこまで言って委員会NP」を毎週欠かさず見ている人間にはお馴染みの論法でした。
 おまけに帯表紙には「百田氏:人生最高傑作」・・・ここまで露骨な「メッセージ」を最高傑作とは、ひょっとして氏は「殉愛騒動」で何か大切なものを喪失してしまったのでは・・・
 ところが読み始めたら、気が付いたら一気に読み終わってしまいました。なんか、「こうなるんだろな~」の展開の連続でとても読みやすかったです。そしてこうも思ったんです。「ならそこまで言って委員会を観ていない人は、この理屈を、このわかりやすい比喩を、理解できるのかな?」と。
 その物語とは、
 故郷を捨てたアマガエルのソクラテスとロベルトは、命を懸けた旅の果てに住環境抜群で温和なツチガエル達が住む平和の国ナパージュにたどり着く。しかし国の周りには凶暴なウシガエルが暮らしていた。なぜウシガエルが襲って来ないのか?ソクラテスが聞いてもナパージュのツチガエルの大半は「争うことを非とする戒律:三戒」を守っているからとしか答えない。さらに国を調べると、過去にナパージュが周辺国やタカのスチームボートと戦争をしたこと、スチームボートが圧倒的な武力でナパージュを制圧してツチガエルを現在も間接的に支配していること、過去の戦争でナパージュにも大量の戦死者が出たにも関わらず「自分たちが戦争を仕掛けたのが全ての原因である」と思っていること、その他諸々の事情を知る。無論三戒に疑問を持つ元老のプロメテウスや変わり者のハンドレットといったツチガエルもいるが、「物知り」デイブレイクや元老の長老カルディアンといった三戒を金科玉条にするツチガエル(?)によって阻まれる。やがてウシガエルが本格的に攻めてくるが・・・
 という、最初から最後まで予想通りの内容。しかし、ナパージュ=日本、スチームボート=蒸気船=米国、三戒=憲法9条、ハンドレット=百田尚樹、デイブレイク=〇日新聞・・・といった形式に一つでも気づかないと、「つまらないことに拘って自滅したアホなカエルの話」になり、何かの拍子に上記の形式に気づくと「なるほど」と膝を打つという、いってみれば「憲法9条が大事だと本気で思っている人用国防論入門ラノベ」であり、「最高傑作発言」は実は左翼に対する皮肉とイヤミ・・・
 しかも自衛隊と思しきハンニバル兄弟が殺された時に「これで三戒が守られる」と騒ぐデイブレイクの神経とか、ウシガエルが攻めてくるときに呑気に「プロメテウス(たぶん安倍ちゃん)は間違っている!三戒を守ろう!」と騒ぐフラワーズはSEALDsだと思われますがたぶんフラワーズ=花たち=脳内お花畑という「ここまでひねりがないのもイカガナモノカ?」と思ってしまうこと請け合いです。もう報ステなんてなんも信用できん!!てな感じで。(ちなみに「デイブレイクの情報で信用できるのは明日の天気だけ」→「でも天気もアテにならん時がある」というのは有名な2chコピペ)
 でもこの本、50万部売れたそうです。最も、百田氏は今や超が付くほどの売れっ子作家。固定ファンもたくさんいますが、それだけでこの数字はないでしょう。ということは、すくなからずこの本をみて「なるほど」と膝を打った人がいるということでしょう。すなわち、ナパージュのツチガエルの如く「憲法9条のおかげで日本は平和なんだ」と思っていた人が。本書は極めて分かりやすく「憲法9条の危うさ」が理解できるので、特に義務教育終わりの大学生の方、SEALDs、もそうですがそれ以上に彼らを利用することしか考えない左翼の大人たちに誑かされないように読んでいただきたいです。

 そういえば、前「憲法9条ノーベル平和賞にノミネートしといたぞ~ドヤァ」という人がいたみたいです。いや、僕も憲法9条に書いてあることは立派だとは思いますが、改正しないと自国も碌に守れない欠陥憲法をどういう了見で!?当然歯牙にもかかりませんでしたが、もし平和賞なんかとってしまっては、日本の9条があることでメシウマなウシガエル中国に獄死させられた劉暁波氏が浮かばれないでしょう。今の政権が安部政権で、本当によかった。