ゼノシリーズの苦難の歴史 これまでと、これからの。
この日記はwiki系のサイトをソースとして、任天堂信者である筆者としては非常に公平な視点で書かれています。多分
去る7/29、ゼノブレイドシリーズの最新作である「ゼノブレイド3」がリリースされました。
高橋哲哉氏曰く、「ゼノブレイド3はシリーズ完結ではなく、一旦の区切り」とのことなので、今はゼノブレイドクロスの新作を待ちつつ、来るべき「ゼノブレイド4」を気をキリンの首の様に長くして待つこととしましょう。
僕もメインストーリーはクリアしたのですが、まだまだサブクエストやら「1」の「Wii版」&「つながる未来」や「2」の「黄金の国イーラ」、「ゼノブレイドクロス」にリベンジしたいと思っています。
さて、「ゼノブレイド3」に関しては賛否両論あるとは思いますが、それも「ゼノ」という看板の重さがあってこその評価というものだと思っています。
奥深い戦闘に質の高いストーリーと演出。ゼノを語る上で必ずと言っていいほど俎上に上げられる要素ですが、僕が思うに、ゼノシリーズ自体の歴史もまた、ゲーム中の磁気異常物質「ゾハル」に人間たちが振り回されるストーリーに匹敵するほどのドラマ性に満ちたものであり、それがゼノブレイドの、ひいてはゼノシリーズの独特の魅力の一端を担っているのではないでしょうか?
〇黎明
ゼノシリーズの第一作目と言えば「ゼノギアス」。かの「ファイナルファンタジーⅦ(以下FF7)」と同時期に開発されたことから、N64・PSといった「第5世代据え置きゲームコンソール」世代のゲーマーに「裏FF7」と揶揄されています。旧スクウェアにおいて戦略ゲームと位置付けられていたのか、特にマーケティングに気合が入っていて、FF7においてクラウドが「百億の鏡のかけら、小さな灯火とらわれた天使の歌声、ゼノギアス」とつぶやくシーンがあるのもまた有名です。
とはいえ、この時点で既にゼノシリーズの苦難の歴史は始まっていました。
まず開発において、
高橋「このままでは納期に間に合わないから発売延期させて。クオリティ保つためなんだよ。ゲームの質が第一っしょ?」
スクウェア「ダメ。ゲームのクオリティ?んなもんどーでもええわ」
高橋「( ゚Д゚)」
その結果生まれたのが、Disc2の紙芝居展開です。
当然そのまま発売したために批判が集まりましたが、そこは当時のスクウェア。元々のゲームの質もあって90万本の売り上げを記録しました。
その「質」を支えていたのが、本編を含めた壮大な設定です。
エンディングにおいて「episodeⅤ」と表示されるように、そもそも単にフェイ君の冒険譚で終わる話ではなく、本編のはるか昔からのストーリーの1片がゼノギアスであり、当然、ここまで売れれば続編の期待も高まるというものです。
高橋「星間戦争の話とか作ってもいいよね?」
スクウェア「FFの映画作るからMURI☆」
高橋「( ゚Д゚)」
このような制作方針の違いにより、高橋氏以下ゼノギアス制作陣はスクウェアと袂を分かつことになります。これによりスクウェアが版権を持つ「本来の星間戦争~ゼノギアス以降の話」はお流れ。勿体ないとみるか、そこまでユーザーが付いてきてくれるか疑問とみるか。ちなみに、ヒゲの暴走でFFの映画に走ったスクウェアのその後はお察し下さい。
〇苦境
高橋氏以下ゼノギアス制作陣は旧ナムコの出資を受け、現在に至る「モノリスソフト」を設立。モノリスとは多分ゾハルの事。早速「ゼノサーガシリーズ」の開発に着手しました。
さて、ゼノギアスはepisodeⅠ~Ⅵまであり、
Ⅰ:星間戦争時代(ゼノサーガシリーズの原案)
Ⅱ:原初の時代(オープニングでエルドリッジがバラバラになったアレ)
Ⅲ:ゼボイム文明(モルスの地みたいなアレ。知らんけど。)
Ⅳ:ソラリス戦役(聖杯戦争みたいなやつ。知らんけど。型月信者は帰れ。)
Ⅴ:ゼノギアス本編
Ⅵ:本編より後の時代(え、蛇足だって!?)
と実に壮大な設定があったのですが、肝心の版権はスクウェアにあるため、「あくまで星間戦争の話っぽいストーリーのゲーム」を作ることになります。まあ、この辺りは任天堂ファンにはおなじみの「ファイアーエムブレム・ティアリングサーガ裁判」で散々揉め散らかしたため、「正式な続編」を作らないのを責めることはできないでしょうが。
で、このゼノサーガ。「episode1 力への意志」というニーチェまんまのゲームは40万本とこれまたヒットしました。
・・・ここまでは良かったのです、こ こ ま で は 。
高橋「episodeⅡ作るお」
ナムコ「Ⅰが相当無茶苦茶な制作体制だったらしいな。あとJRPGは世界で受けな
いから俺らが手伝ったるわ」
高橋「あざーす」
ナムコ「取り合えずお前監督降りろや」
高橋「( ゚Д゚)」
こんな感じでepisodeⅡ制作時に旧ナムコから盛大な横槍が入り、出来上がったのは邪神像と2004年クソゲーオブザイヤー大賞作でした。さすがにNHKの中の愛国派の如き旧ナムコにも良識を持った人がいたのか、高橋氏の初期構想の要素を加えた「ゼノサーガⅠ・Ⅱ」や、制作体制の見直しが図られた「episodeⅢ ツァラトゥストラはかく語りき」で評価は持ち直した感はありましたが、2007年にモノリスソフトの株式の80%が任天堂に売却され、任天堂の子会社と相成ったのです。
この売却劇の詳細は明らかになってはいませんが、旧ナムコ自体の合併の混乱もありモノリスソフトと親会社の関係は悪化したのは間違いなく、また任天堂も当時の次世代機のWiiの発売直後の為に自社ソフトの、それもWiiに不足していた大作RPGを揃えるために任天堂、バンダイナムコ両社の利害が合致したのは想像するに難くないでしょう。
〇飛躍と禍根
任天堂の子会社となったモノリスソフトですが、しばらくはバンダイナムコ製のゲームに関わったり、任天堂からも「ソーマブリンガー」や「ディザスター」といったゲームを出したり、株式の完全取得による任天堂の完全子会社化があったり、と今に続く「ゼノブレイドシリーズ」に向かっていく訳です。
「社長が聞く」でも高橋氏が「制作体制の不備によりゼノサーガシリーズでは悔しい思いをした、その悔しさをバネにゼノブレイドを制作した」と語るなど、今までの艱難辛苦を思い起こさせるエピソードが記されていました。親会社が任天堂という安定した環境故今までの旧スクウェアや旧ナムコとの事情の違いはありますが、例えば山上仁志氏とのやりとりで、
高橋「納期に間に合わない・・・このままではゼノギアスの二の舞だ・・・」
山上「ちょっと任天堂を説得してくるわ」
高橋「・・・え?・・・えええええええええ!?( ゚Д゚)」
となったのは、ゼノブレイドシリーズにおいて割と重要だったのではないでしょうか?それでも「巨神肩」のマップが没になったりしましたが、「クロス」「2」「3」と恙なく続き、後年の「DE」で没マップが復活するなど、色々と批判も多い山上氏ですが、きわめてGJな判断をしたと思います。
こうして「ゼノブレイドシリーズ」は、無事任天堂の重要なIPとなり、これからも系譜が続いていくのは、作り手、ゲーマー双方にとっては幸福な事だと思います。
ゼノブレイド3の、あのEDを見ながら、作り手に唯々感謝。
ゼノブレイドよ永遠に!
・・・で終われば良かったんですが。
ここまで読んでいただいて大体察しが付くとは思いますが、ゼノブレイドを「ゼノシリーズ」という大きな枠組みで見た時、簡単には解決できない問題が立ちふさがっています。
まず「ゼノブレイド2」で度々仄めかされていましたが、終盤決定的になったのが、「ゼノギアス」との関係性。
詳しいネタバレは避けますが、ゼノギアスでのあるシーンがそのままゼノブレイド2のストーリーに影響を与えているのです。更には、隠してもしょうがないで書きますが「1」と「2」の双方の設定に多大な影響を与えているとあるアイテムの設定が完全にゾハルなのです。という事は、WiiやWiiU、Switchからゼノシリーズに入った、僕みたいなプレイヤーがストーリーを完全に楽しみたいなら、最低限ゼノギアスをプレイしたいといけない、という事になってしまうのです。
そうなるとゼノギアスをプレイする環境を作らないといけないのですが、手っ取り早くてもPS4か5の「ゲームアーカイブス」を利用して、そうでなければ中古屋で旧PSシリーズとソフトを購入しないといけないのですが、PS4はもちろんの事、最近転売ヤーが旧PSシリーズを買いあさっているためか値段が高騰。とてもゲーム1本の為にハードを買える状況ではなく、任天堂ファンには厳しい状態です。
リメイクには当然、当時のスタッフであるモノリスソフトの協力は不可欠ですが、版権はスクウェア・エニックスにあるため任天堂のコンソール以外でゲームがリリースされる可能性がある以上、方や任天堂の子会社であるモノリスソフトが、サードパーティーのスクウェア・エニックスと一緒にゼノギアスのリメイクを作るのもあまり現実的とは言えません。というか、作れるならとっくにリメイクしているでしょう。
FF7~12がSwitchで販売される時代だし、「2」では「邪神KOS-MOS」がブレイドとして登場したので、ゼノギアスやゼノサーガも・・・とは思いますが、「ゼノブレイドシリーズ」が盛り上がっているにも関わらず未だにリリースされていないという事は、「そういう事」なのでしょう。
比較的現実的なのは移植やリマスターを待つか、ゼノサーガ同様、ゼノブレイドシリーズと矛盾しない設定の「ゼノギアスっぽいゲーム」「ゼノサーガっぽいゲーム」を、モノリスソフトが作るか、PS4とゲームアーカイブスを購入するか・・・になってしまいますが、PS4以外は確実ではありません。
ゼノブレイドシリーズ自体は一区切りついたかもしれません。しかし、過去のゲームを楽しむ、設定を楽しむという面において、未だ決着を見ない問題が横たわっているゼノシリーズ。
「過去のゲームが気楽にプレイできない」という「これでいーのか!?レトロゲーム」にも通ずる禍根は、そう簡単には雲散霧消とはいかないようです。