上杉アイクの机上で空論

独特の感性で森羅万象を考えます

奇跡(2度あること)は起こるよ、何(3)度でも

 辛抱さんが引退される前、「そこまで言って委員会」で言っていたことで、印象に残っているのが「昔はデマが流行しても、メディアが情報を伝えればすぐに収まった。今はメディアが情報を伝えるとそれがデマ扱いされる」という、メディアの凋落を嘆いた言葉です。

 確かに、辛抱さん時代の「ウェイクアップ」とかは真面目に見てたんですが、今はガチでテレビを見ない。見るのは以前から録画していたお気に入りの番組くらいで、ニュースなんかほとんど信じないし、バラエティー番組でも「〇〇が人気!」なんて眉唾物だと知ってしまっているので・・・

 そんな、マスゴミが力を失っていく状況を象徴する事象がまた起こったようです。

 

 僕が「100日後に死ぬワニ」を知ったのは、幸か不幸か「スッキリ」で取り上げられた時。

 正直、マスゴミが「SNSで話題」だの「あの芸能人も注目」だの言ってる時は大抵裏があると思ってしまうので、「101日目に荼毘に付されるワニ」もどうせ「メディアが仕掛けた流行」なんだろうとしか思わなかったです。100日目が近づくにつれて「101日ワニちゃん」に関連するツイートに、リツイートでもないのに一言一句同じ文面が並ぶなど着々と証拠が揃うなか、100日目に案の定というか答え合わせというか、大量のグッズに天使の羽やハイロウを付けたワニにいきものがかりとのタイアップ曲に・・・と、燃え盛る炎にワニを突き飛ばしたに等しい所業が明らかに。

 そりゃあ炎上もするだろうと思ったのもつかの間、コラボカフェの来客は休日で営業日初日ながらお客が1人という惨状で「コロナ対策」と称して閉鎖。

 さらに映画化もされてLINELIVEで予告の配信も行われる予定だったのが、地震の影響で中止になったとき、配信中止のアナウンスから30分間、27000人もの熱心なファンが「配信中止」の旨の画面を見続けた上に投げ銭までしているという異常事態に、「これが本当のサクラを見る会」と揶揄されるというオチ。いざ映画が始まっても席はガラガラのリアルソーシャルディスタンス状態。上映時間も63分という「25年前のドラえもん映画と同時上映のドラミちゃん映画か!」と思う短さで入場料はフルプライス。アニメーションの質は「紙芝居」で、お話しは正に蛇足の一言。さらには映画館の予約システムで遊び出す人まで現れ、映画レビューサイトは無関係なレビューで溢れかえって機能しない状態に・・・と、まるで「NARUTO」の穢土転生でワニを甦らせて袋叩きにするような、究極の死体蹴りが行われるという悲劇・・・悲劇?吉報と言えばワニグッズを大量に買い占めた転売ヤーが無事爆死(やっぱり死か)したことくらいでしょう。

 

 とかくステマの大元である電通が燃料を投下し続ける中、面白いことにマスゴミが100ワニ擁護にまわっています。アカヒ新聞系の「論座」には

「100日後に死ぬワニ」はなぜターゲットにされるのか - 赤木智弘|論座 - 朝日新聞社の言論サイト (asahi.com)

という文が投稿され、「電通ステマや、コラボカフェの早期撤退を客の入りが悪かったと決めつけ、『叩いてもいい』と判断したモノに対して徹底的に叩くネットの風潮がある」という、「確かに」半分、「ブーメラン頭に叩き付けながら文章書いてるのか」半分の気持ちで読みました。

 まあ、「映画館の予約システムで遊ぶ」というのは明らかに筋違いでしょう。別に映画館は「映画を上映してください」と言われたから上映しているだけであって、別に映画製作に関わっているワケではありません。レビューサイトも同様です。正直、ただの迷惑行為です。それに、流行りものに人や会社が群がるのはごく自然なことでしょう。

 

 しかし、マスゴミ電通といった「ステマ側」には決定的に欠けていることがあります。それは、100ワニというコンテンツが、マスゴミ電通がどう思われているか?です。

 100ワニの魅力って何だろう?と考えると、それはもう、「雰囲気」しかないでしょう。ワニの日常は本当に何気なく、単体で読んでも「ふーん」とも思わない。作画も見てて不安になるレベルで、画集が欲しいかと言われれば欲しくない。そんな日常の下に出てくる「あと〇〇日」の文字が100ワニの、ひいてはツイッターで1日づつ公開されるマンガの最大の特徴でありセールスポイントなのです。「あと○○日」の文字があるから大したことないお話しも作画も独特の「味」となる、奇跡のバランスの上に成り立っていたマンガであり、そのバランスを支えていたのは「あと○○日」よって醸し出される雰囲気、それをツイッターで、みんなで共有するというのは、アイディアとしてはむしろ優れてすらいます。

 だからこそ、マスゴミに取り上げられたり、命日に大量のグッズやタイアップが発表されたりというのは、正に「雰囲気ブチ壊し」。なまじネット上で感想が共有されているものだから悪評も一気に広がってしまい、純粋に楽しんでいた人もさぞかし不快な気分になったでしょう。別にお金儲けが悪いとは言いませんが、雰囲気が大切なコンテンツだからこそ、マーケティングというのは慎重に行っていただきたかったのです。

 そしてもう一つ、マーケティングを行う電通マスゴミがどう思われているか?を考えてみると、これまた悪手に悪手を重ねています。というのも、どちらも世間からの印象は最悪と言っていいレベルなのです。

 マスゴミは言わずもがな。近年では一体いくつの「タピオカの次に来る韓国ドリンク」が紹介されたやら。それで今定着しているのは台湾パインという皮肉なオチ。マスゴミの情報の信用性はニュースに限らず、そういった「生活情報」でも皆無であり、特定アジアを利するような事ばかり発信していると日本国民は気付いています。そんなマスゴミが100ワニを擁護したところで胡散臭さしかない。101日目の火葬の際も「スッキリ」では「予想外の展開」として報じ、近藤春〇が「(急なグッズ展開に対して)本当にビックリしました」というコメントをしていた様子も空虚そのものでした。

 さらには電通も、以前から「ピンハネ」企業と揶揄する声があったし、「広告代理店が扱うのは1業種につき1社」という、よくよく考えれば当たり前のルールすらロクに整備されない。さらには過労死事件まで起こしてしまい、マスゴミほどではないにしろ嫌われる下地はできていたし、ネットではそういった広告代理店に不利な情報も用意に拡散されるため、特にネットに触れる層での評判は最悪です。特に今年は、ようつべで流れる広告費がテレビを上回っており、広告代理店の力は確実に低下しています。

 100ワニを楽しんでいた人たちというのは、SNSを利用する「ネットに触れる層」であり、マスゴミや広告代理店を嫌う人たちでもあるのです。そんな人たちに向けたコンテンツで、ステマをするだのマスゴミが擁護するだの悪手もいいところ。快楽殺人犯が快楽殺人犯を擁護するようなモノであり、人によっては「開き直った炎上商法」ととらえる人がいても止む無しでしょう。

 

 それでいてアニメーションの質がいいとはいえない映画を公開。予告の配信にサクラを使う*1

 マスゴミ&広告代理店御用達の「流行語大賞」にかすりもしなかった、日本国民はおろかパヨクにも見捨てられ、コンテンツとしての寿命も命脈もとうに断たれた100ワニの映画化など昔のマンガがパチンコ化されるようなものであり、もはや「叩かれるために映画化した」も同義なのです。

 さらに質が悪いのが、今後こういった展開をするコンテンツが、たとえ広告代理店やマスゴミが関わらないクリーンなものであっても、疑いの目で見る人がたくさん出てきてしまい、コンテンツが成立しなくなってしまう可能性が極めて高い点です。そういった意味でも、100ワニにおける広告代理店やマスゴミの所業は非常に重いと言わざるを得ません。

 もう一度書きますが、別に流行りモノに人や会社やお金が集まることは否定しません。ただ、コンテンツにあったやり方というものがあり、今回は盛大に失敗し、結果、広告代理店やマスゴミの悪辣さが余計際立って、更には後に続くコンテンツも成り立たないようにしてしまった。広告代理店やマスゴミは、「自分たちは不幸を振りまく存在である」事を自覚していただきたいです。

*1:BOTを使ったらしいですが、むしろ悪質さが増したような